はじめに
この記事はwhywaita Advent Calendar 23日目の記事です.
今日はwhywaitaさんと僕が所属している技術系学生サークル「MMA」ので行われている活動である『プログラミングRust』輪読会について, 開催に至った経緯とその様子を紹介します.
『プログラミングRust』輪読会 とは
弊サークルでは部員の技術力向上, 部員同士の交流などを目的に, 部員有志の間で技術勉強会が定期的に開催されています. とある分野を勉強したい部員が集まってその分野について勉強するという形式で, ただ黙々と作業するものから講義スタイルのものまで様々です. 以下のようなテーマの勉強会がここ数年で開催されてきました.
- Haskell講習 (2016/4 〜 2016/6)
- Haskellの入門書であるすごいH本を読み進めていく会
- Scala Collection Library Code Reading (2017/4 〜 2017/8)
- Scalaのコレクションライブラリのコードを読む会
- CTF勉強会 (2017/4 〜 現在)
- 2017年は講義形式, 2018年はCTFの常設問題に取り組みCTFの勉強をしている
- メンバー同士でオンラインコンテストへ出場
- 競技プログラミング勉強会 (2018/11 〜 現在)
- 競技プログラミングの常設問題を一緒に解いたり, アルゴリズムの勉強をする
- メンバー同士でオンラインコンテストへ出場
- 『プログラミングRust』輪読会 (2018/10 〜 現在)
- Rustの入門書であるプログラミングRustを読み進めていく会
『プログラミングRust』輪読会はこの勉強会の一環として開催されているものです. 元々, 僕がRustという言語を勉強したくて『プログラミングRust』を書籍を購入したのですが中々読む時間が取れず, いわゆる積読本となっていました. また書籍自体もとても分厚く (約600P), またRustという急な学習曲線を持つ言語がテーマであることも読書を躊躇する理由となっていました.
- 作者: Jim Blandy,Jason Orendorff,中田秀基
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2018/08/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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流石にそのまま放置していても良くないので, 何かしら手立てを考えて読み進める方法を模索することにしました. そこで取った選択肢が「輪読会」です. 個人で分厚い本を読むと途中で飽きたりしがちですが, 輪読会駆動で定期的に読む仕組みを取り入れることで, 読書を強制することができます. それ以外にも以下のような様々な効果が期待できると言われています.
- 一人で読むにはパワーが必要な本を全員で読みきる
- 分担して読むことで負担を減らせる
- 理解が難しい本を全員で理解する
- 普段触れていない分野が題材の場合でも、有識者の補足をもらえる
- 別の分野の視点から良いところ、悪いところなどの意見や議論ができる
- より実際に運用しているサービスに当てはめて考えやくすなる
- 触れたことのない分野を皆でキャッチアップ
- 全員が一度に知識をキャッチアップできるので属人化になりにくい
幸いにも部員の中にRustに興味がある人が多数居たので, すぐに開催へと漕ぎ着けることができました.
輪読会を始める
開催に関するコンセンサスが取れたので, 輪読会のルールについて決めていきます. 具体的には開催日はどうするか (週1か週2か隔週か), 1回あたりの分量はどうするか (節ごとか章ごとか), 音読するか, 予習は必須か, 予習した範囲を要約した資料を課題として作るかどうか, などといったことを決定します. これらは「実際に本の中で紹介されているコードを試しながら読み進めて欲しいので予習必須」, 「分量が多いので要約資料必須」など, 本の特性に合わせて決めていくと良いかと思います. 今回は以下のような基準で輪読会のルールを決めていきました.
- スケジュールが調整しやすいので週1ごと開催
- 言語機能ごとにまとめて学びたいので章ごと読む
- 1章あたりの分量が多いので音読は無し
- 本の中で紹介されているコードを試しながら読み進めて欲しい&当日読む時間が勿体無いので, 予習は必須
- 分量が多いので要約資料必須
- 属人化を防ぐため, また主催の負荷を軽減するため要約資料は持ち回り制の担当者が作成
ルールが決まったら, 輪読会の概要と共にアナウンスを流します. この際, 輪読会の難易度や雰囲気を明確に伝えるため, またミスマッチを防ぐため「対象者」という項目を書いておくのがポイントです. 以下は実際にサークルのメーリングリストに流したアナウンスです.
「『プログラミングRust』輪読会」開催のお知らせです. Rustの入門書が最近発売されたのですがとっても分厚いので, 輪読会駆動で頑張って読み進めようという会です. - 輪読する本: https://www.oreilly.co.jp/books/9784873118550 - Rustについて: https://employment.en-japan.com/engineerhub/entry/2017/07/10/110000 Rustは"非常に急な"学習曲線を持つ難しい言語ですが, 沢山人が集まれば誰かしらは分かっている人が居るので質問し合いましょう. 議論して様々な視点から理解を深め合えるかも. 参加希望者は以下の調整さんから都合の合う日を入力して下さい :pray: - https://chouseisan.com/s?h=XXXXXXXXXXXX ## 概要 - 輪読会駆動で『プログラミングRust』を最後まで読む - 毎週1章ずつ読んで半年〜1年で全章読破という気持ち - 開催日 - 週1で開催予定 - 調整さんの結果を見て決めます - 対象者 - 参加は自由ですが, プログラミング初心者にはRustは難しすぎるのでオススメしません - 以下のような経験があると初学が少し楽になります - C/C++などのシステムプログラミング言語を触ったことがある - 式指向言語を触ったことがある - 関数型プログラミングを取り入れた言語を触ったことがある - パターンマッチングがある言語を触ったことがある - ジェネリクス(ジェネリック/総称型)がある言語を触ったことがある - 場所: 部室 (予定) - 持ち物: 『プログラミングRust』の物理本または電子書籍 (各自で用意) - 連絡用Slackチャンネル: #programming-rust ## 進め方 - 当日は質問や議論に集中しましょう - そのために… - 参加者は予習をお願いします :pray: - 参加者は当日扱う範囲を事前に読んできて下さい - 完全に理解できなくてもOK. 1人で無理せず当日質問して解決しましょう - "担当者"は予習範囲の要約をお願いします - 担当者は予習範囲を要約したものを当日持ってきて下さい - 当日は主にその内容を元に議論をします - 担当者は毎週持ち回りします - 当日の流れ 1. 担当者が要約した内容について話す 2. 要約を元に皆で議論する ## 補足 - 予習について - 予習範囲で分からないことがあったらSlackで聞いたり, メモして当日共有すると良いです - 1人で悩む時間は勿体無いので相談しよう! きっと誰か教えてくれる! - 要約について - 形式は自由 - `.txt` でも `.md` でもOK - スライドでもただの文章でもOK - 箇条書きでもOK - 本に書いてあることを要約に全部含める必要はないです - 自分が特に重要だと思った所を要約すると良いかも - 元の文章の主張や全体像を簡単に把握できればOK - 詳細は書籍を当たれば良い ## 第1回の案内 - 読む範囲: 1〜2章 - 担当者: @mizdra - 開催日 - 決まり次第 #programming-rust に流します - 早ければ来週から, 難しければ再来週から
輪読会の進行の仕方
当日になったら部室に集まって, 初めに要約資料を担当者が読み上げます. 要約と言っても分量が多い章だとA4サイズで30Pくらいあるので, 要約資料もそれなりの分量になります. そのため, 大抵は質問&小休憩タイムは最後にまとめて取るのではなく, 節ごとに挟みながら30分〜80分程度掛けて進めています. 要約資料の読み上げが終わったら, 途中で拾いきれなかった疑問やちょっとした余談, 全体を通した感想などについて議論していきます. 要約資料の読み上げ中にSlackチャンネルに予めネタを放り投げておくと, 最後の議論タイムで話すネタをスタックできたりして便利です.
実際にどのような質問と議論が行われたのかは, 第一回の輪読会の資料にログが残してあります *1. 以下で輪読会の資料の一部が公開されていますので, 参考までにどうぞ.
- UEC MMA プログラミングRust輪読会資料第4章 · GitHub
- Programming Rust 輪読 20181119 - hogashi-pub
- Rust 輪読会 20181203 - swkfn-pub
感想や反省など
まだ輪読会は7章までしか進んでいませんが, 各自が予習し, 資料を作成し, それを元に議論するというフローが上手く回っており, 無事軌道に乗ることができているようです. 自分は以前からTRPLでRustの勉強をしていて多少のRustの知識はあったのですが, 実際に書籍を読んだり他の参加者に指摘されたりして自分の誤解に気づく, という場面も何度かありました. 「お互いに理解を深め合う」ということが実現できており, 開催して良かったなと思っています.
一方で質問や議論のログが残っておらず, 輪読会に来ていない/来れなかった人に知見を共有できていない, 振り返りの時間が確保できていないなど反省点もあります. 今後はこうした改善点をきちんと洗い出し, 次回以降の勉強会に役立てていきたいですね.
以上, whywaita Advent Calendar 23日目の記事でした. 24日目は @yu_suke1994 さんの担当です!
*1:他の回は質問の議事録まで取っていなかったため, 残念ながら残っていません.